一つ一つの要因について対処法を考えてみました。
1)遺伝的素因:これは生まれつきなものですから、どうしようもありません。しかし、アトピー遺伝子の存在について研究がされています。近い将来、アトピー遺伝子が解明されて遺伝子療法が可能になるかもしれません。
2)アレルゲン感作量の調節:最も現実的な対処療法です。しかし、アレルゲンが何でるか判明しないと具体的な対策が取れないのが問題です。そのためには検査を行う必要があります。検査方法には、血液検査と皮内反応検査があります。血液検査は検査所へ血液を送るだけで向こうで検査してくれます。動物病院では採血だけを行えば良いので手軽にできる検査法として普及しています。現在では100種類近くのアレルゲンについて詳細な検査が可能ですが、検査料が高価(約2万円)なのが欠点です。また、検査方法が血清中の抗体を酵素抗体法(ELISA)で比色測定するものですから、実際の生体反応とは異なる場合があります。
スペクトラムラボジャパン(http://www.slj.co.jp/index.html) のサイトを見ますと、検出する抗体はIgEを選択的に実施しています。前に説明しましたが、アレルギーの機序としてはT型〜W型まであって、IgEが関与するものはT型に属します。T型によるアレルギーは最も普遍的なものであり、犬では他のほ乳類と比較して血液中のIgEの分布量が多いことから、IgEを検出する方法は特異性が高いと思います。しかし、生体内では他の抗体によるアレルギーも生じること、アレルギー性接触性皮膚炎ではW型も関与することからこの結果が原因の特定に十分とは言えません。皮内反応も主としてT型を判定するものですがW型の判断も可能です。調整したアレルゲンを犬の皮内に注射接種するのですが、アレルゲンの調整が難しく、検査が行える動物病院は限られています。メリットとして、実際の生体内での反応を見ることができるのでより確実性が高いことが挙げられます。
こうした検査で得られた結果から、 アレルゲンの可能性が高いものを日常生活から除去する、軽減させることが感作量の調整ということになります。IgEは鼻粘膜や気管、腸管粘膜に多く分布するため、この検査で検出されるアレルゲンも鼻や口から入る物質が多いです。しかし、全ての陽性物質を除去することは難しく、実際は強陽性の要因や食餌や環境等、身近なところから始めるしかありません。要因をよく分析して、一年を通してアレルゲン量が増えないような工夫をすることが重要です。また、その逆転的発想で、「減感作療法」という治療法が近年行われるようになりました。これは、アレルギー反応を起こさない程度の量に調整したアレルゲンを継続的に投与することで免疫寛容(過剰な免疫反応を起こさせないように免疫細胞を慣らすこと)を起こさせ、アレルゲンとして認めなくする方法です。しかし、皮内反応試験の結果をみて治療を開始することから、アレルゲン調整がきちんとできる病院でしか行えませんし、治療中にアレルギー反応を起こす場合があり、そのときは長期間治療を中断する必要があります。複数のアレルゲンに対応することも難しいと思われます。
今回はアレルゲンのお話で終わりです。次回は免疫に作用する薬についてお話します。



